ジャパン・オカリナ・フェスティバル

 今年もジャパン・オカリナフェスティバルに今年も参加した。
 演奏は、ギターの師匠長谷川先生に伴奏をお願いして、「G線上のアリア」と「雨にぬれても」を吹いた。伴奏に支えられて、何とか演奏を終えたが、ドキドキもの。
 聞いていた妻は、「G線上」は音程が甘い、とのこと。もっと吹き込まないと、とまたもやいつもの反省。
 出演前、毎回スタッフとして、舞台進行をしていただいている、オカリナの演奏と制作をされる方と話をしていた。その方は、やっぱり、オカリナは、製作と演奏が一体になっていなければならないですね、というようなことをおっしゃっていた。

 今回の展示場所は、右手にサウザンスリーブスの千葉さん、左手は、ピエタの丸山さん。お二人とも演奏も、製作も定評の人達。
 丸山さんとは2年ぶり、また様々なことについてお教えいただいた。
 このお二人に挟まれて、谷間のようにMORI OCATRINAはへこんでしまうような気がした。
 お二人とも演奏は、非の打ちどころのない素晴らしい出来。
 あんないい演奏をする人の作るオカリナはきっといいものに違いない、と思わない方がおかしい。
 そのお二人に比べて、僕の演奏は……へこんでしまうのだ。
 いいオカリナかどうかを決め選ぶのは、感覚的なものである。
 オカリナは、息圧を始め吹き方によって大きく左右される楽器。スタッフの方が言っていたように自分で吹く楽器は、自分で作るか、オーダーしたものを使うべきなのかもしれない。
 最初からいいものだと思っているオカリナは、自分の吹き方が悪い、合わないのだろうと思うが、そうでないものは、オカリナの方が悪い、合わないと思うのではないか。
 今回のフェスティバルは、15周年記念ということで、最後に宗次朗氏の演奏があった。その中で、彼は、自分のプロヂュースした オカリナの高音が出ない、と苦情が来る場合があるが、僕が吹くと全部ちゃんと出る、楽器のせいではないのですよ、と笑顔で説明していた。
 あまりいい楽器でなくても上手い人が吹けば、いい音がする。しかし、どんな名器でも下手な人が吹けば、いい音はしない。誰が吹いてもいい音がする楽器などない。

 かつて、ピアニスト、リヒテルはピアノを選ばず、悪いピアノはない、そのピアノをコントロールできないだけだ、と言ったそうだ。
 しかし、ベートーベンは、彼の時代のピアノに不満で、メーカーに改良を命じ、鍵盤の数を増やし、ぺタルの位置を現在の位置にするなどし、今あるピアノの形にした改革者らしい。
 ……ベートーベンが、普通のピアニストだったら、メーカーはその要望に応じただろうか。
 いい楽器を作りには、いい演奏家がいなければならない。
 いいオカリナを作るには、いい演奏家でなくてはならない。
MORI OCARINA
 丸山さんは、その曲が体にしみこむほど練習する、とのこと。
 いい演奏をされる方は、ほとんど暗譜、音楽が体にしみこんでいる。
 もっともっと練習しなければ……。せめて暗譜できるまで練習しよう。
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向こうの世界へ誘う音

ハウザー1世コンサート 先週、長谷川郁夫先生の「100年前のドイツギター~名工ハウザー1世を聴く~」という。コンサートが行われた。
 会場に着くとまだ演奏会は始まっていなかったが、先生はすでにギター(ラウテ)をつま弾いておられその音を聞いてびっくりした。
 優しく、どこか遠くへいざなってくれるような、なんとも懐かしい響きなのだ。
 ガット弦(羊の腸から作られた昔ながらの弦)を使い、指頭奏法(爪を使わない奏法)で奏でられる名工ハウザー1世のラウテの音は、先生自身も「音楽の世界に連れてってくれるような音」「弾いていると時間を忘れてしまう楽器」と表現していた。
 この楽器で弾かれたバッハの「無伴奏チェロ組曲第1番」の全曲演奏は圧巻だった。
 ギター用に編曲されたものではなくチェロ用の楽譜をそのまま弾かれたそうである。
 音楽には、確かに目に見えない世界、この世界とは別な世界、形而上と表現されるような世界、またあの世とか彼岸と言われるような、物心つく前に見えていたような世界に誘ってくれる力がある。
 ハウザー1世のような昔の名工は、このような音を知っていたのではないか、と後日長谷川先生は言っておられた。
 改めて、目指すべき音の世界に気付かされたような体験だった。

マエストロの名器

中塚先生製作SC菅表 オカリナ演奏の師である山本千恵子先生から中塚純二先生製作のソプラノC菅を貸していただいた。
 この楽器、艶やかで柔らかくかつ芯のある、天からから降ってくるような素晴らしい響きがする。
  この音を自分のものにしたいと 楽器の様々な角度から観察してみるのだが、特に変わった形をしているわけではない。
 作りも特別 精巧にできているとは思えない。
 この音はいったいはどこから来るのだろうか。中塚先生製作SC菅裏 
 自分のオカリナもいい線いっているのではないか、と思っていたがこのオカリナを吹くと、まだまだだと思う。

 中塚先生には、山本先生を通して二度ほどお会いしたことがある。
 二度目はご自宅にお邪魔させてもらい、先生の試作のオカリナなどを吹かせていただいたりする機会に恵まれた。
 先生は、製作の弟子はとらない方で、オカリナづくりを簡単に教えてくれるようなことはない、とのことだったが、すでに製作からは退いておられたせいか、僕の様々な質問に、優しくすべて答えてくださった。
 先生は、「~ではないでしょうか」と答えられることが多くあり、最後に、「本当のことはわからないのですよ」と言われたのが印象に残った。
 本当に迷宮だと思われていたのだろうか。
 楽器づくりの奥義は身内にも明かさないという楽器づくりの世界、とぼけておられたのかもしれない。
 オカリナづくりを教えていただいたなどとは言えるようなものではないが、帰宅して、先生に教えていただいたことをノートに書き留め読み直した。
 そうやって製作しても、製作する技術がともなっておらず、思うような音は出せるわけもなく、問題も解決しなかった。
 しかし、こうすればいいという方向、目標が見えたことは確かだった。

 あれから何年になるだろう。この楽器を吹いていると、遠いけれどさらにはっきりと光が射すように先が見えてくる。

新しいバージョン

 アルトG菅を新しいバージョンに変えた。
 今までのものは形が気に入らなかったので、何度か作り変えたのだが、思ったようなものができないので、今回は気に入っているアルトF管を縮小するという方法で作った。
 つまり、焼きあがったアルトF管を元型にして、石膏型を作る。その型で作ったオカリナは、粘土の収縮によって、アルトF♯菅になる。さらにそれを元型にして目的のアルトG菅を作った、というわけだ。
 アルトF管の縮小コピーのアルトF♯菅とアルトG菅を作ることができたのだ。
AF菅を元型にして AF♯菅の型どり
石膏の流し込み 型外し
 このような製作方法は、頭では分かっていたし、すでに常識的に行われていることなのかもしれないけれども、実際にやってみると思ったよりもうまくいった。
 ギターの師匠の長谷川先生はかねてより12調全てのオカリナを作ってセットで売り出すべきだと言っておられる。
 音域の狭いオカリナはギターのカポタストをつけるように、オカリナを使い分ければいいのだという。
 需要があるかどうかは別にして、この方法を使えば、意外と簡単に全調オカリナを作ることができると思う。
 ただ、今のところ需要のないものを作る気持ちにはなかなかならないのだが……。

チューニング

CREA.jpg 柔らかい音のオカリナがほしいということで、ギターとオカリナのディユオCREA」のお二人が来房された。
お二人とも美大卒でオカリナのふき子さんは銅版画家。
 僕も長く木版画をやっていたし演奏はギターもやっているので共通の話題も多かった。
 すでに使用している他メーカーのオカリナと、ギターを持参され、オリジナル曲をMORI OCARINAと吹き比べるという、まるで、至近距離からコンサートを聴いているような、今までにない工房での試奏だった。
 自分の作ったオカリナと他メーカーのオカリナとをギター伴奏で聴き比べることができるなどという、何とも贅沢な初めての体験だった。
 自分のオカリナの長所欠点がはっきりと分かりとても勉強になった。
 そのような中で、音は気に入っていただけたのだが、どうしても高くずれ込んでしまう音がある。
 その音だけを弱く吹かなければならないのでは使えない。
 急遽指孔の調整(チューニング)を行うと、使えるようになった、とSC菅とSG管を購入していただいた。
 持参された幾種類かの他のメーカーの楽器では問題ないのにMORI OCARINAでは問題になるということは、僕の吹き方の(息圧の)癖が平均的なものとは違っているのだろうか。
 もう一つ考えられることは、強い息圧を使用するオカリナ(ある人はパワーオカリナと言った)とは、違い弱い息圧で吹くことを前提としている(響き系と言うのだろうか)MORI OKATRINAでは、チューニングの状態が違うのではないか、ということ。
 以前にも書いたが、演奏家に合わせた楽器のチューニングは、ピアノなどでは、調律師が厳密に行う作業だ。
 オカリナでは、その場のチューンングは難しい。厳密には、弦楽器のように演奏家自らがやるほうがいいのだが…。
 また考えなければならない問題だと思う。
プロフィール

森秀文

Author:森秀文
多摩美術大学絵画科卒
長く木版画の制作にいそしむ。
1991年頃よりオカリナの制作を独学で始める。
オカリナ演奏を山本千恵子に師事。
ギター演奏を長谷川郁夫に師事。
現在「くじらギター重奏団」メンバー。
ルアー・フライフィッシング、野菜の栽培も行っている。

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