オカリナを補修して……

金継ぎ風補修オカリナ2  ここのところ、割れたオカリナの補修を頼まれることが多くなった。
 以前にも書いたが、自分の作ったものでないオカリナの内部が覗けて、補修の結果が楽しみなので、好んでやらせてもらっている内部を覗いていると本当に勉強になる。
 あるオカリナ製作者は、気になるオカリナがあると購入して、割って中を調べる、と言っていた。
 しかし、手塩にかけるようにして作られたオカリナを破壊することは僕にはできない。
 愛用のオカリナを割ってしまった落胆は、何とも言いようのないものだ。
 それを復活させることはオカリナづくりをしている者にとっても喜びであり、救いになる。
 近いうちにオカリナ補修の受け付けをHPで一般にも広げようとも思っている。

 そんな中で、やはりそうだったか、と確信したことがある。
 オカリナの音は、ほとんど歌口づくりにかかっていると長い間思っていたのだが、最終的に音質を決めるのは、オカリナの材質(粘土、焼成温度、厚さ)やオカリナの形だということ。
 火山久氏が、オカリナの土を求めて全国を廻ったと聞いたことがあるが、今は納得できる。

金継ぎ風補修オカリナ1 MORI OCATRINAは響き系と言われている。この響きを作っているのは、ボディーの形と材質なのだと思う。

 同じくらいの大きさ形の陶器、磁器、ガラスでできた器(コップでも茶碗でもいい)をお箸などでたたいてみよう。
 硬度、密度の高いのはガラス、次は磁器、一番低いのは陶器。さて、どれが一番響くでしょうか?
 試してみれば、火を見るよりも明らかです。

 さらなる響きを求めて材質の異なるオカリナのアイデアが閃いた。
 試作し、思った通りの結果が出れば、バージョンアップするつもり……。
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オカリナを廃棄する

廃棄オカリナ 気に入らないオカリナの置き場所がなくなったので、廃棄することにした。
 焼成前のものもあるが、焼き上がりっているものは楽器として、十分に使用できるものだ。
 使用できない、と思ったものや、修復困難だと思ったものは、その場で廃棄してしまう。
 これらは何とかならないか、と思ってとってあったものだ。
 音が気に入らないのだ。ほんの少しかすれたり、割れたり、音ぬけがもう少し…、と思ったものたち。
 何年か前ならば、廃棄しなかったかもしれない。
 ということは、以前購入いただいたものの中には廃棄したい、と思うようなオカリナがある、ということで、なんとも申し訳ない気持ちになる。
 年々廃棄する数は減ってきているけれども、それに伴って一個当たりの製作時間が増えている。
 クオリティーの高いものを作れば、製作時間が増えるけれども、いいものができる確率も高くなる、ということだ。
 
 丁寧に、ていねいに、自分の思う形を正確に作ることによってはじめて問題が明確化される。
 その形成力というか、テクニックを身につけなければ、決して良いオカリナを創ることはできないだろうと思うこのごろ……。

忠類川サーモンフィッシング

尻尾がなくなりかけているカラフトマス 今年も北海道の忠類川へサーモンフィッシングに行った。
 昨年は台風がかつてないほど幾つも北海道に上陸し、釣行を断念せざるを得なかった。
 今年こそは、と楽しみにしつつ解禁日からの情報を見ていたが魚の遡上が極端に少ない。
 9月になって、8月はさっぱりだったカラフトマス、鮭共に少しずつ釣れるようになった。
 釣行初日(9月10日)、終了前の1時間弱竿を出したが、魚の姿を見ることはできなかった。
 次の日地元のYさんやOさんに付き添われて同行のMさん、こちらに長期滞在しているSさんと共に魚が溜まっているポイントに行き。僕はカラフトマス13匹、鮭を1匹釣ることができた。
 ただほとんどの魚が産卵中で、なかには産卵床を作りで尻尾がほとんどなくなっている雌もいた。
 背中や鰭が傷つき白くなっているものもあり、痛々しい。

ほとんどホチャレの鮭67㎝ サーモンは、産卵行動に入ると捕食しない。
 群れを見つけて鼻先にフライを流し込むと、そのフライを攻撃するために噛みつくので釣れる。
 しかし、鼻先を通過しなかったフライはそのまま体に当たる。当たってもこのような魚は逃げないのでスレ掛かりする。
 釣れる魚のほとんどが、スレ掛かりしたホッチャレ(産卵の終わった魚)寸前という魚だった。
 
 午後になりMさんと二人だけで釣りをした。
 広い河原に二人だけ、熊を恐れてMさんは頻繁に熊鈴を鳴らす。
 午前中元気のいい雌の鮭を思わずバラしてしまい悔しがっていたMさんだが、僕よりも沢山の魚を釣ったものの、元気のない魚を引っ掛けて釣るような釣りに釈然としないようだった。
 そして、かつて釣ったような、遡上中の元気な魚を釣りたい、と言う。
 僕も同感。

 この日まだ元気な腹の大きな雌のカラフトマスが釣れたのでキープ、義母に送った。
 卵が入ってなかったらごめんなさいと連絡していたのだが、250gのイクラが採れたという。
 一応面目は立った。

 次の日から雨、川止めになり、5泊6日の滞在中釣りになったのはこの日だけだった。
 一昨年のような逆転サヨナラホームランはなかった。

 数年前から魚の遡上が極端に少なくなった。
 天気にも恵まれない。
 地球温暖化による異常気象が原因なのかも知れない。
 どこの海でも川でも魚が少なくなったのを実感する。
 今の子供達が僕達の年齢になる頃、「おじいちゃんが子供頃にはこの川で鮭が釣れたんだよ」と言うことになるかも知れない。

 東京へ帰る日、ミサイルが発射されテレビは大騒ぎ。
 人類を滅ぼし、地球を壊してしまうような愚かなことにならないように……。

なんちゃって金継ぎ

金継ぎ1 オカリナ演奏の師匠である山本先生から、時々生徒さんの割れたオカリナの修理を頼まれる。
 自分の作ったオカリナではない。
 割れたオカリナの中が覗けて、自分のオカリナでは出せない様々な個性を持つオカリナの音色がどこから来るのか調べられるので、修理は好んでやらせてもらっている。
 先日も2個のオカリナを頼まれたのだが、頼まれていたその時に膝の上にのせていた自分のAC菅が床に落ちて割れてしまった。
 自分のオカリナももちろん修理した。
 中が覗けて、なるほどなるほど…、外からは見えないところに小さなクラックがあった。このクラックを埋めると……。
 
 これを機会に、前から試してみようと思っていた金継ぎをやってみた。
 本当は、漆を使うのだが、通常の補修と同じ接着剤を使い、金箔を押した。金箔、と言っても本物ではなく真鍮箔。
 つまり、なんちゃって金継ぎなのだが、緋襷とうまく絡まっていい感じに仕上がった。
 割れたオカリナをつなぐと真っ白のものや、真っ黒のもの以外は、継ぎ目がどうしても目立ってしまう。
 今度から希望される方には、金継ぎをしてもいいかも……。
金継ぎ2 金継ぎ3

アルトC菅高音問題再び

 今日もアルトC菅の製作に苦戦。納得のできる音にならない。

 先日、「オカリナを立てて吹くと高音が出るのか詳しいことは分からないが、このようにしなければ音が出ない楽器はAC菅にかぎらず、僕は欠陥品だと思っている。」と書いた。
 「欠陥品」という言葉はあまりに過激、というか適切ではなかったと思う。
 オカリナの音は、個人の感覚によって違っている。あくまでも僕個人のことであるので、それを一般化するような表現はよくない。
 僕のオカリナは立てて吹くといい音にならない。そうではない音を追及している、ということを言いたかったのだ。
 クリアーな音は味がない、かすれる音や、割れる音がいい音だと感じる人もいれば、柔らかな響く音よりも硬い強い音を好む人もいる。
 立てて吹くオカリナの高音がいい音だと感じる人には、挑戦的だと思われたに違いない。
 ただ、オカリナの高音域に限って、立てて吹かなければいけない、というのはやはり楽器の機能としては違和感を覚える。すべての音を立てて吹くというのなら、そのような吹き方をした方がいい音が出る、ということになるのだが高音域に限って、ということになると……。

 ギターを弾く時の断弦位置は、サウンドホールの少し駒寄りのポジション(ノーマルポジション)ということになっている。
 ノーマルポジションよりもネック方向にずらして弾くと弱くやわらかな音がする。駒近くで弾くと硬く強い音が出る。サウンドホール真ん中で弾くと一番響く音になる。
 そして、これらの位置を時によって使い分けるのだが、硬く強い音を必要とするフラメンコギターなどは、駒近くがノーマルポジションらしい。
 ただ、これらの使い分けは音色の違いであって、音の高低にはあまり関係がない。

 ピアノや、ギターなどの他の楽器でも、高音域があまり響かない楽器がある。高音になるとコツコツというような響きのない音になるのだ。名器はこの高音ののびが素晴らしい。
 このような現象は、大きな楽器の高音域に現れる。
 コップに水を入れながら、たたいて音を出すと、水の量が増えるとともに音が高くなっていく。そして、ある一線を越えると音が響かなくなる。同じ音程でも径の細いコップならきれいに響く。
 太い弦で、高音域を出そうとすると、響きが悪くなる。

 オカリナの高音が出づらいという問題は、明田川氏が12孔オカリナを考案した時から付きまとっている問題だと思う。中塚先生は、音域がオクターブなら何の問題もないのです、とおっしゃった。
 オカリナという楽器は、高音域を立てて吹かなければならない、そういう楽器なのだ、と思えば問題はないのだが……。

 AC菅高音問題は今日も僕の中で進行中、まだ解けないままだ。
プロフィール

森秀文

Author:森秀文
多摩美術大学絵画科卒
長く木版画の制作にいそしむ。
1991年頃よりオカリナの制作を独学で始める。
オカリナ演奏を山本千恵子に師事。
ギター演奏を長谷川郁夫に師事。
現在「くじらギター重奏団」メンバー。
ルアー・フライフィッシング、野菜の栽培も行っている。

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